大好きな変な家族たち。◆
その反面。建志はモテモテだった。

小中高と同じ学校であったが、同級生に情報を聞かれることも多かった。

私は「柳瀬川」に近づく御曹司どもを嫌がったのに対し、
建志は「柳瀬川」を武器にどんどん女性に近づいて行った。

「志保は考えすぎ。「家」なんてきっかけジャン?」
とにこやかに笑う建志は
自信に満ち溢れていて、思わず私でも見惚れた。



たぶん、その優しい笑顔にみんな騙されるんだろうなー。
ほんとに、顔立ちは整っていて『王子』と呼ばれるのに抵抗も無い。

本人も、いたってフェミニスト。
何度かデートや遊んでいる話は聞いたが
本命はいないといつも言っている。





「あー。私も建志みたいに愛想よく笑えればいいのになー。」

怒鳴り声が響く部屋の前。
廊下のガラス戸もあいているのでそのまま腰掛ける。

「愛想よくって…しつれいな。志保も十分かわいいじゃん?

 だって、同じ顔だよ?」

「それって、建志はいい男だよ。っていう自慢?」

「そうだけど?」


建志は笑いながら、隣に腰掛ける。

「建志は、顔は良いけど、中身はわがままよ。」

志保はプイっと顔を背ける。

「あはは。志保も、建志もどちらもかわいいよ。」

そんなことをいいながら、お父さんは志保の隣に腰掛ける。

この父にして、この子あり。
そんな感じ。


父も、建志も、結構自信家。


ニコニコ微笑みながら言うので、ぜんぜん嫌味に聞こえないけど

「いっとくけど、顔が いけてなかったら、ただのナルシストよ?」


志保は、あきれたように左右に座るイケメン父子を見る。


「ねぇ、それって志保はいい女って自慢してる?

 だって、俺たち同じ顔だよ」

「あ。」

揚げ足を取られた私を、くくくって笑いをこらえてみてる。

「ちょっと、お父さん。そんな笑わなくなって…もーー」


志保は不機嫌に空を見上げた。

あぁ。空が青いな。
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