虎目石の瞳に射抜かれて。

だってわたしは貴方から愛の言葉を聞いたことはない。



少しくらい『愛』の言葉を言ってくれても罰は当たらないでしょう?





口を尖らせて拗ねてみる。






わたしが映る虎目石の瞳がすっと細められた。


普段への字に曲げられている大きな口が弧を描く。




たったそれだけのことがとても嬉しい。





まるで、愛を告げているようで、悲しみを帯びたわたしの心を簡単に幸福へと導いていく――。




たまらない幸福感がわたしの心に染み渡ると、彼は腹の底からうめき声をあげた。



わたしを包んでいる力強い二本の腕に力が入る。






そして、彼はとうとう口にするの。




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