SD殺人事件
加速する悪意
「今からカメラ見て磯俣のタバコに誰か触ってる人おらんか見て来るわ。その人が犯人のはずやし。あと、変な奴がここに入ってへんかってのも。」
信くんがそう言ってる途中で支配人は休憩所から出て行った。
「班長待って。何が何かわからんままアタシ等犯人扱いされてるんやし、みんなでカメラ見ていい?」
地ー坊が周りを警戒してるかの様に目をキョロキョロさせながら言った。
それを見てすかさず、
「言い方悪いけど、もし犯人が俺らの中にいるんやったら逃がさんって意味でもみんなでいる方がいいよな。犯人が変な気起こした時に大勢いる方が対処もしやすい思うし。班長いいでしょ?みんなでカメラ見て。」
俺が言うと信くんは、
「ええよ。」とだけ言って、休憩所から出て言った。
休憩所から事務所に向かう途中のみんなの空気は今までこのメンバーで味わった事のない重さだった。
一人を除いては…。
中央エントランスの所らへんでニヤニヤしながら高くんが耳打ちをしてきた。
「絶対犯人見つけて下さいよ。得意でしょ?こういうの。」
まるで何かのゲームを今から始めるからクリアしろと言った感じの口調だった。
思わず、彼の神経を疑ってしまった。

「失礼します。」

事務所に入ったと同時に皆が言葉を失った。
事務所のモニターがある場所の前の机。
支配人の机。
支配人が自分の机で居眠りをしているかの様な格好をしていた。
そして、ピクリとさえ動かなかった。
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