うさぎ と くま の物語 (完)
 

「いいと思うのになー…」


「私は…マネージャーとして応援できるだけで、十分ですから。今が楽しいですもん」


「うさぎ…」


「―――あっ、ほら!そろそろ時間ですよねっ!みんなのところに行きましょ!?」


「え、うさぎ…っ!?」


何か言いたそうな梨乃センパイの腕を掴んで、みんなが集まる場所に歩き出す。


―――そうだよ。


私は柔道部のみんなのために頑張る。


それだけでも楽しいし、幸せなことだよ。


今日からは大会も始まる。


大会に集中するお手伝いをしっかりしなきゃ。


私が今できることをやるんだ。






―――ほんの少しだけ欲張って。


マネージャーとしてで構わないから。


篠田センパイの近くにいれればいい…。


それだけで…。

 
< 53 / 122 >

この作品をシェア

pagetop