うさぎ と くま の物語 (完)
私は恐る恐る、篠田センパイの大きな手を両手で包むように握った。
目を閉じて、祈るように呟く。
「……早く、治りますように。……篠田センパイ」
「――――…」
篠田センパイの手にも力が籠るのがわかった。
目をゆっくりと開けると、そこには大好きな篠田センパイの顔。
「…………片岡」
「………?」
「―――いや、うん。ありがと」
この笑顔は、私しか見てない。
今だけ、独り占め…。
少しだけなら、許してもらえるかな…?