こんなかたちではじまる恋
告白
「…それにしてもヒドい格好。お風呂沸いてるから入ってきたらどうですか?着替えも貸しますから」



あたしに敬語を使う綾野に、もうあたしたちにはあの頃のように近い距離にはいないと言われているような気がして心がずきんとした。



「だ、大丈夫…。こ、これ飲んだらすぐ帰ります」



慌てて紅茶を飲み干そうとするあたしを見て、



「あはは!お風呂貸したからってどうこうしようとは思ってませんよ!どっちにしろそんな格好じゃ外出れないだろうし、お風呂に浸かったら気分も変わるかなと思って」


と綾野は言った。



確かに、こんなビリビリに破けたストッキングを履いたまま帰るわけにはいかないなと思った。
よく見たらブラウスのボタンだって取れていた。


あのまま綾野が来てくれなかったらあたしはどうなってたんだろう。
< 125 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop