冬の花
「そろそろ行こうか。」
一歩、歩こうと足を踏み出した時
ぐわんと目の前が白く染まる
体が力なく崩れていく
トスッ
「大丈夫か?」
桜木くんの声はどこか遠く
まだ目も白くぼやけている
感覚だけで手を伸ばすと
ちょうど桜木くんの頬に触れた
すると桜木くんの体温が流れて
少しずつ色が戻ってくる
「良かった。立てる?」
うん。
そう言いたかったけど
嬉しさで声が出なかった
桜木くんの手を取って立ち上がる