チョコレート
突然のコトで私の声は裏返った。
「ここ、分かんないんだけど…」

なんだ生徒か…
なんだって言っちゃ、なんだけど…
取り敢えず良かった。


「そうそう、この問題ね。これは去年の入試に出た問題なの。Nothing is so precious …うん、そうだね、ここはasでも正しいよ。」

さりげなく頬を触ってみる。
もうすっかり熱は引いていた。良かった。

頬の熱は治まったけれど、心は全く治まっていない。
私の全神経は宮本先生がいる左側に集中していた。

ちらっと彼を盗み見る。
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