チョコレート
後ろを振り向くと、声の主である女性講師は気持ち悪い笑顔を浮かべながら私を通り越して、宮本先生のもとへと駆け寄った。

この人の名前なんだっけ…
女性講師は宮本先生の手を握っていた。
猫のように甘えた声で宮本先生に話し掛けている。私の耳はその声を聞き取ってくれない。私の脳がそれを拒否している。

あぁ…この人、宮本先生のことが好きなんだ…

私はただ立ち尽くしているだけの自分が惨めに思えて、駐輪場へ向かって歩き出した。
自分の自転車の鍵を外し、ゆっくり自転車を引きながら2人の前を通り過ぎようとした。
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