HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「でもさ、この前も高橋さんに言ったよね?」

「何を?」

 ――何を、じゃないだろ!?

 少しばかり憤慨しながら俺はもう一度繰り返す。

「高橋さんのこと気になるんだ、って」

 舞は右上の宙を睨みながら思い返しているようだが、怪訝な表情は変わらない。

「あーやっぱり! 俺、結構勇気出して言ったのにな。聞き流されたような気がしてたけど、その後どうも様子が変だし、もしかしたら……」

「ちょ、ちょっと待って!」

 ――ん?

 慌てた様子の舞は俺のほうへ右の手のひらを差し出してきた。

「眼鏡返して」

 ――そんなにかわいい顔を見せられて、簡単に返すと思う?

 それに俺は今、相当意地悪な顔をしてるだろうと思うので、余計に返したくないのだ。

「教えてくれたら返してあげる」

 舞の表情が不安で青ざめた。

 それじゃあ、まずは優しい問題から……



「俺のこと、そんなに嫌い?」

「ち、違う!」



 即答だった。出来の良い生徒の解答に俺は非常に満足する。

 次はもうちょっと難しい問題だけど……



「じゃあ……」



 と、言いかけたところに

「はい、お待たせ。野菜ラーメン!」

 注文していたことをすっかり忘れていたラーメンが湯気を立てて目の前に現れた。

「あ、そちらです」

 ――なんつー、ナイスなタイミング……

 ラーメンを運んできたオバさんに愛想良く答えながら、実は俺たちの話を聞いていて「今だ!」とばかりに割り込んできたのではないかと心の中で軽く疑った。
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