Steady
母親も年を重ねたなぁ、

と背中を眺めながらふと思う。


わがままな私を

いつも一番に考えてくれて、

時に横道に反れないように

厳しい言葉をかけてくれたり、

毎日帰りの遅い父親の分も

全てカバーしてくれていた。


そんな母親。


私の知らない苦労も

多分いっぱいしてきて

いるんだろう。


いつの間にやら

母親のいたるところに

その“勲章”が

あらわれている。


日頃の労を

少しでもねぎらおうと

重い腰を上げようとした

その時だった。


「彩加」


野菜を刻んでいるのだろう、

トントンと包丁の

軽快な音をたてながら、

私を呼ぶ。



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