Steady
『彼』との約束の場所である

改札口を出る。


辺りをくまなく見渡したけれど、

『彼』はまだ

来ていないようだった。


構内の時計をみると

11時になる15分前を差している。


ホッとするような

落胆するような、

なんとも言えない感情のまま、

私は改札口に向かうようにして

立つことにした。


メールでは「了解」とは

言っていたけれど、

私からの突然の誘いに

ちゃんと応えてくれるのか

確証はない。


もし11時を回っても

現れなければ、

30分は待ってみよう。


それでも姿が見えなければ、

また日を改めて会う約束をしよう。


そう思いながら

改札口から出る人の集団を

眺めていた。


ふと目の前に現れた集団の中に、

私をまっすぐに見つめる

視線を捕らえた。


「え……」


ゆっくり近付くその姿に、

私の胸がどくんと大きく揺れ動く。


ぴたりと私の前に止まると、

ニカッと笑顔を見せた。






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