Steady
「優、くん……」


私の声に

敦は素早く後ろを振り返る。


それまで軽やかに走っていた

優の足が徐々に重くなっていく。


優の視線の先には私ではなく敦。


敦もまた優をじっと

見つめたままぴくりともしない。


まさか……。


まさかこんなことになるなんて

思ってもなかった。


大学の最寄り駅である

この場所に、

敦が来るなんて

思ってもいなかった。


だって、私は敦に

「大学生」であることは

言っていても、

「どこの大学の学生」かまでは

言ったことがなかったから。


きっと敦のことだから

澪にでも訊いたのだろう。


でも、今はそんなこと、

もうどうだっていい。


敦と優が顔を合わせてしまった

この状況を、

私は一体どうしたら

いいのだろうか。






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