御曹司なんてお断りっ◆
ーーぴったり5分後。
俺は、いつもの料亭の前に降り立つ。
入り口では、携帯電話を片手に武が立っていた。
うわぁ。めちゃめちゃ不機嫌だ。
そりゃそうだろ。
まるで、武が『できない』から俺が飛んできたみたいに見えるからな。
武のプライドもメンツも丸つぶれだ。
でもーそうは言ってられない。
「…昴様。…」
「市川。悪い。信用していないわけではない。」
武が何か言いかけるのを制するように口をはさむ。
そのまま店内に進みながら、
話を続ける。
「もちろん、市川が状況報告のつもりで20%の商談だと言ったのはわかる。
市川のことだ、最終的に80%にすることもわかっている。
それでも、今回の商談は僕が来た方が早いだろう?」
「…それはそうなんですが。」
まだ不満そうだ。
「信用していないわけじゃない。
ただ、仕事を放棄するとフラれそうだからな。」
俺はにっこり武に笑いかける。
武は眉間にしわを寄せて
不思議そうな顔をした。
何のことかさっぱりだろう。
でも、詳しく説明している暇は無い。
こちらですと案内された部屋のふすまが開く。
俺は、できるだけ印象のいいように明るい声で話しかけた。
「やぁ。初めまして。花京院昴です。」
一時間でやってやる。