御曹司なんてお断りっ◆
アリバイ完了!

***

待ち合わせのホテルに到着すると、
ロビーにはすでに志保が待っていた。


「志保ーー?」

「昴さん。」

俺は、目を奪われた。


いつもの黒メガネをとり、
一つ結びの髪の毛ははずされて、
軽くアップにセットされている。

いつものような
通勤スタイルではなく、
ふわりとした、あわいオレンジのワンピースを身にまとった
志保は、ゆっくりと立ち上がって、

俺に近づいてきた。


「あ・・の?」

しばし見とれていた俺に
志保は不安そうに顔を傾けた。

「あのっ。一応、母の見立てでコーディネートしたんですが・・
 我ながら、似合うかなと思ったんですが…

 だめでした?」

志保は、不安そうに俺を覗き込む。

俺は、そんな志保の腕をつかみ
ぎゅっと抱きしめる。

「きゃっ。昴さん」
 
「志保!とても似合うよ。
 あまりに、綺麗で言葉をうしなった。」

やべ。理性が吹っ飛びそう。

できるだけ、優しくゆっくり俺は
志保に話しかける。

こんなかわいい格好で
来るなんて、ほかの奴には見せたくないな。

< 182 / 305 >

この作品をシェア

pagetop