御曹司なんてお断りっ◆
***


「--親父。
 こちらが 田中 志保さん。俺の大切な人。」

その声ではっと体に緊張が走る。
深く頭を下げて、

「--田中 志保です。」

と、伝えた。


花京院主催のクリスマスパーティに顔を出した、昴さんの両親。
つまり、花京院のトップ。

白髪交じりの髪にどっしりした雰囲気。
とても70歳も近いという感じではなく、
ギラリと光る眼はまだ『現役』を漂わせている。


「--大切な?
 将来とか考えているのか?どこの令嬢だ?」

少しかすれたバリトンボイスが
不機嫌そうに響く。

それだけで、私はびくっと恐縮してしまい、
思わず、半歩下がってしまう。


「いや、彼女は普通に働くOLさんだよ。
 もちろん将来を考えている。 
 近々彼女の両親にも挨拶をーーと考えてーー」

「ダメだ。」

怒鳴るわけでもないが、
やけに迫力のある否定に昴さんも眉をひそめた。


「なぜ、お前が普通の子と結婚するんだ?
 その子は、何のプラスになるーー
 
 さんざんのお見合いを断っておいてーー」


あぁ、やっぱり…
私では花京院のプラスにはならないからーーー


志保は顔を曇らせた。


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