初恋は実らない
あの日の出来事は・・・
大学の卒業間際に裕から聞いた。

お互い就職先が決まって、卒論を書き終えた頃。

「なんで今頃!?」

正直そう思たんも仕方ないやろ。


吉武 裕。
大学に入って、一番に出来た友人。
コイツが小西に惚れたんが、そもそもの間違いやったんや。


あの日、サークルの飲み会。
「休む」と言った俺に、「新入部員だから顔ぐらい出さないとダメだよ」と諭したのは裕やった。

「顔だけ出して、すぐに帰れば問題ない筈だから」

確かに一理ある、そう思たんや。


翌日に一時帰国してる実咲との約束があった俺は、その言葉を鵜呑みにして飲み会に参加した。

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