鈴姫
「お前、話せるの?」
「話せないなんて一言も言っておりません」
その言い方に憂焔はむっとしたが、紅玉の弔いが先だと思い直し、彼女の亡骸の側に座った。
秋蛍も黙ってやってきたのを見ると、カオルは両の手のひらを天に向け、目を閉じた。
ふわりと、潮の香りが漂ってきて憂焔は目を見開いたが、驚いているのは憂焔だけで、あとの三人はなんてことのない顔をしている。
その様子を見て、この香りはカオルの力なのだと理解した。
「紅玉姫様の生家は海の近くでございました。これで魂は癒されることでしょう」
「そうか……」
潮の香りは次第に薄れ、やがて消えた。
紅玉を窓辺に移動させると、憂焔はくるりとカオルのほうに向きなおった。
「それよりお前」
ずい、と指先をカオルの鼻先に突き付ける。
「話を聞いてる限りじゃ、お前は俺に憑くんだろ?どうして手助けしてくれなかったんだよ」
カオルは憂焔の手を払いのけ、ぷいと顔を背けた。
「憂焔様はまだ私を使役する方法をご存じではありませんし……、どちらの味方をしたらいいのか、正直わからなかったのです」
「は?」