花恋-はなこい-
校門が見えてくると、

圭輔は繋いでいた手を

ぱっと離した。


真由はそれまであった

圭輔の温もりを確かめながら、

圭輔の横にぴったりと

寄り添って歩いた。


付き合い始めて分かったことは、

“彼女”になっても

圭輔の学校での接し方は

基本的には変わらない

ということだ。


いちゃついたり、

四六時中一緒にいるわけでもなく、

こうしてせっかく

繋いでいた手を離してしまったり、

必要以上に会話したりはしない。


最初の頃は

真由も本当に圭輔と

付き合っているのか不安になり、

彼女であることが

単なる自分の思い込みなのか

とさえ思っていた。


でもその不安は

ある事をきっかけにして

泡のように消えてなくなった。



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