†SweetBlood†
呆気にとられその様を眺めていると、ひとしきり笑い続けようやく笑いの発作が収まった男性が、目尻の涙を拭っていた。
(笑いの沸点の低い人だ。)

彼女は知らない。彼の笑う姿など、この世に知るものは居ないことを。


「…質問、してもいいですか?」
自分を笑われて嬉しいものはいない。
若干ぶすくれながら目の前の男性に話しかける。

「あぁ、状況だろ」


その言葉にさっきの考えが間違っていないことを確信する。
(この人は私がこう聞くことを知ってたんだ。)
また思考の縁に沈み込みそうになるのを遮り、目の前の男性が話し始める。

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