†SweetBlood†
休んだ時には白み始めていた空が、今は茜色に染まっていた。
完全に昼夜が逆転している。

「だる…。」
時計をみれば、6時を過ぎたところ。
夕暮れの早さが季節と時の経過を物語っていた。

ざっと12時間近く寝ていたため頭が目覚めるのには時間がかかる。
顔でも洗おうかと考えたところで―--

コンコン。

軽やかに扉をノックする音がした。
紅黎ならノックなどせずにいきなり扉を開けるような気がして、誰かと訝しみながら慌ててベッド脇に畳まれていたガウンを羽織る。
紐で留めるべきか悩み、試した末羽織るだけにしておいた。

着慣れない衣服に若干、戸惑いながら扉の向こうへ声をかける。

「ど、どうぞ!」
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