†SweetBlood†
だが、少女の命の灯火が真紅の毒蛇のように純白の大地を染め上げて行くと――--

辺りを、熟した果実のような瑞々しくも甘美で馨しい香りが満たしてゆく。


その香りに僅かばかり興を惹かれ、少女の傍へと降り立つ。
常であれば有り得ない行動。


騒然としていた地上は、突如現れた男にざわつくが、男の眼差し一つで凍りついたかのように時を止める。

そのとき―--冴え冴えとした一条の月光が雲間より射し込み、銀糸のごとき髪を照らし白皙の美貌をあらわにする。


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