意地悪LOVER




キーンコーンカーンコーン…。



授業終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。


「んぁ…?」


ゆっくり起き上がると、周りのクラスメイトは立ち上がって話をしていたり、早弁をしていたり。


「…休み時間だ…!」


そう直感した時、あたしの目はパッと覚めて即座に席から立ち上がった。


大地のとこに行かなきゃ!



タオルを手に持ち、勢い良く教室を飛び出した。


しばらく長い廊下を走って、あたしは大地の教室へと向かう。
その時だった。



ドンっ!!!

前を良く見ていなかったあたしは、思い切り何かと正面衝突してしまった。



「きゃー!ごめんなさいっ!」

「…ててて…」


お互いころんで、あたしは急いでぶつかった人の元へと駆け寄る。


「大丈夫ですか!?」



あたしがそう言って、その人に手を差し伸べると、急にあたしの腕はグイっと引っ張られた。


「!?」

「大丈夫じゃないです」

そう言って、ぶつかった人が顔を上げた瞬間、あたしの中の血液が逆流するのが確かに分かった。



そう。そこに居たのは紛れもないあいつ。
あたしに無理矢理キスをした、"あいつ"が居た。



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