意地悪LOVER



「…あ…あ…!」


あたしは目の前の悪魔を目にして、ただ指をさして後ずさりすることしか出来ない。
だけど、離れることを悪魔は許してくれない。


「また会ったな」

ニコリと笑ってはいるけれど、その笑顔の本当の意味は知りたくない…。


「な、何で…ここに…!?」

「バカか?」


ぶちっ。
そいつの言葉に、危うくキレそうになるけどここは我慢…!


「俺、ここの生徒なんだけど。ひかり先輩?」

「へー…、そうなんだ…って…」


今、なんて!?
ここの生徒!?しかもあたしの事先輩って言った…!?


「あ…、あんた…と、年下…!?」

「ピンポーン」



楽しそうにそう笑うと、そいつはあたしに更に近寄ってきてグイっとあたしを引き寄せた。


「ちょ、ななな何!?」

「…俺の顔見て」

「…は?何言って…」


改めて男の顔を近くで見たことで、今気がついた。あたしが今朝叩いたところに小さなアザが出来ている。


「そ、それ…!」

「そーなんだよね。俺の綺麗な顔に傷が!」

「…」

確かに綺麗な顔ですけど、自分で言うのはちょっとおかしいんじゃ?


「そ、それはあんたが悪いんだから!」

「別に何もひかり先輩が悪いなんて言ってねーよ?ただ…」

「ただ?」


あたしが聞き返すと、そいつはまたニコリと笑って


「お礼をしたくて!」

そういいながらまたあたしの頭をガシっと掴んで、キスしようとしてきた。



「ちょ…!あんた!!やめてってば!」

「あんたじゃねー。俺は…」


そう言ってあたしの抵抗もむなしく、キスされそうになった瞬間。




「…あれ?…ひかりと…玲皇…?」


後ろでそう言う声がした。


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