意地悪LOVER



「だ、大地!」


振り返るとそこには、体育を終えて少しかいた汗を拭いている大地の姿が。


いつもなら天使に見える大地が、今は神様に見える。いや、救世主だ!

あたしは、大地に呼ばれたことで隙が出来た玲皇と呼ばれた男からすばやく離れた。


「何してんの?」

「いや、その…」

「それに、玲皇まで」

「…ちわっス」


少し遅れて、玲皇は大地に頭を少し下げて挨拶した。


「…大地の知り合い?」

「知り合いっつーか…部活の後輩」



部活の後輩…。
大地のその言葉があたしの頭の中をぐるぐると回ってる。


それよりも最悪なのは、大地にあたしと玲皇君が一緒にいるのを見られた事。もちろん、今朝のことがなければ接点がないあたしと玲皇君。

言い訳が全然思いつかないよ…!


「何で二人一緒にいたの?」


大地がそう質問する。当然の質問だと思う。

あたしがテンパってるのを他所に、玲皇君はキョトンとして


「今朝、キ…」


といいそうになったのをあたしは"わー!!!!"と言いながらギリギリで遮った。



「さっきココでぶつかっちゃって…!起き上がるの助けてもらってたの!」

もちろん、あたしのその言い訳に玲皇君はつっかかる。


「おい、あんた…」


その瞬間に玲皇君の足を思い切り踏んでやる。



「いいっ…!!!」

後ろで微かに玲皇君の声にならない悲鳴が聞こえる。

その調子。あんたは黙ってて!



「ぶつかったって…大丈夫なのか?」

「あ、うん!大丈夫だから…行こう!?」

「え!?あ、おいっ…」

大地の手を引っ張ってあたしはとにかく痛がってる玲皇君から離れるために、足早に歩いた。












「…ふーん…?そういうこと…」


後ろで玲皇君が更なる不気味な笑顔で笑ってることさえも知らずに…




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