意地悪LOVER


好きな人と一緒に登校して歩くのは本当に一瞬で。
いつもなら遠く感じてた学校までの道のりがあっという間に感じられた。

そして学校に着くと同時に残念な気持ちも湧き上がってくる。

「なんかあっという間だったなー」

「え?」

「いや、結構長い道のりだったけどさ。すげー近くに感じた!」

はははっと笑いながら、軽くそう零す大地。
良かった。早く感じるのはあたしだけだと思ってた。
だから大地にそんな嬉しいこと言われたら余計舞い上がっちゃう。


「今日、部活来るの?」

「…え…!」

大地に言われて、心臓が大きく脈を打った。
それと一緒に玲皇君の顔まで浮かび上がってくる。


ドキンドキン…。


心臓がうるさい。


「来るよなー?…めちゃくちゃ元気そうだし?」


ニヤッと笑って、あたしを見る大地。
くそう…。こりゃ完全にあたしが病欠させないように訴えてる…。

それならあたしに休む理由はナイはずだから。


行きたい理由と行きたくない理由があって、どっちを選べばいいのかわかんない。

だけど、大地のこんな爽やかな笑顔見てたら行きたくなっちゃう。

玲皇君のことなんて吹き飛んじゃう。



「行く!もちろん、行くよ!」

あたしは大地に笑ってブイサイン。そしたら大地も"良かったー"なんていってくれて、ブイサインをしてくれた。

その時だった。



「…ひかり…!…と大地先輩…」

後ろから、玲皇君の小さくかすれた声が聞こえた。



「…玲皇君っ…!」

「…」

おはようとも挨拶を交わさず、見詰め合ったまま無言で立ち尽くすあたし達。
あたしからは何を言えばいいのか分からないけど、玲皇君はその逆みたいで何か言いたそう。


「あの、さっ…」

「ひかり行こーぜ!」

何か言おうとした玲皇君の言葉を遮って、大地はあたしの腕を取って、教室まで歩き始めた。



「え?だ、大地!?」

「授業遅れる」


あたしに背中を向けて話す大地は、どこか怒ってるようにその声から感じ取れる。


…どうして?
何で怒るの?

あたし、何かしたのかな?


…それとも…玲皇君と喧嘩でも…したのかな…?




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