意地悪LOVER



佐々木にはちょっと待ってもらって、俺の部活着に着替え終わった。


「ごめん、待たせた…!」

「あ、はい!大丈夫ですよー」

「じゃ、部活のみんなに改めて紹介しに行くよ」

「うわー、緊張するな!」

「大丈夫だよ、みんな女の子が来てくれて喜ぶ!」


"ほんとですかー?"

なんて佐々木は笑ってたけど、実際ほんとに喜ぶと思う。だってみんなこの男だらけですっごいやる気なくしてたとこだし。

つい最近ひかりが入ったけど、玲皇と付き合ってるから面白くないみたいだったし…。


また部活に明るさが戻るんじゃないかな…。




「お、大地せんぱーい!彼女っすか?」

「ちっげーよ!マネだって!」

グランドに近づいてきて俺らをからかってきた哲。その哲に突っ込みを入れたのが玲皇。


二人はほんと絵になる二人。
いや、恋人とかそういうんじゃなくて…イケメン二人組って感じかな。



「相沢先輩は玲皇にとられちまったからなー、佐々木は俺らに潤いくれよなー」

「秋岡君のためにも頑張るー!」

「お!やる気満々じゃんっ」


楽しそうに話す佐々木と哲。
結構上手くやっていけそうじゃないか?


なんて内心一人で喜びながら、俺は部員全員を集める。


部員は新しいマネ、そしてフリーの可愛い女の子なだけあって、その瞳の奥からはなにやら炎が見えている。

…下心丸見えだな。




「じゃ、今日から新しくマネージャーに加わった、佐々木亜矢さんだ。」

「佐々木亜矢といいますっ!一年ですが、頑張りますので仲良くしてくださいっ!」


その声に部員全員が叫んだり、喜んだり。いろいろな喜びの表現をしている。


佐々木さんも部員に囲まれて楽しそうだ。



だけど、その中に一人。


一人だけ浮いている人が。




「…ひかり…?」


遠くの方から俺らを見つめるひかり。
その瞳はまるで何かを怯えているかのような瞳。



俺はすぐさま、ひかりのもとへと駆け寄った。


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