意地悪LOVER
「ひかり…、体調悪い?」
「だ、大地!」
突然話しかけられて、少し驚いているかのようなひかり。
でも本当に顔色が良くないみたいだ。
ちょっと青ざめている。
「大地があの子連れてきたときはびっくりしちゃったよ、彼女かと思った!」
「はは、それみんなに言われる」
「何か二人似合ってたからさ」
ズキン…。
やっぱ辛いな。好きな子にそうやって言われるの。
本当に俺は眼中にないんだなって改めて思わされる。
「当分彼女はいらねーかな」
「何で?」
「やっぱ部活に専念したいし」
もちろん部活も大好きだし、部活を引退したら受験勉強だってある。
だけど、一番の理由はこの高校生の間はきっとひかりのことを忘れれそうにないから。
下手したらずっとずっとひかりだけに叶わない思いを抱いてそうだ…。
「相沢先輩!」
「!」
急に向こうから佐々木がこちらに向かって走ってきた。
ていうか…相沢先輩って…二人は知り合いだったのか…?
「…佐々木…さん」
「今日からよろしくお願いしますね!なんたって二人しかマネージャーがいないんですから!頑張りましょうね!」
「あ、うん。…ありがと…」
さっきよりもひどく青ざめていくひかりの表情。
やっぱり調子悪いんじゃないか?
そう思って俺がひかりに何か言おうとしたときだった。
「おい、ひかり。ちょっとこっち来い」
「れ、玲皇くんっ!?」
いつの間にきたのか、玲皇がひかりの腕を掴んであっという間に俺の前からさらって行った
こういうとき、俺ってでしゃばれないな…。
なんて思い知らされる。
やっぱり二人の間に亀裂なんてないのかもしれない。俺が入れる隙なんてないのかもしれない。
俺はただじっと二人の後姿を見ていることしか出来なかった…。