パラサイト ラブ

盗み聞きしてしまったやりとりは、私の心に大きな影を落とした。

だけど……せっかく私を受け入れてくれた龍ちゃんの家族に心配をかけるようなことはしたくない。


大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて……発作が起きないように自分を落ち着かせる。



そして、しばらく廊下で呼吸を整えると私は何事もなかったかのようにダイニングの席へと戻った。




「――朝乃ちゃん、このみかん食べて?すごく甘くて美味しいの」

「はい、頂きます」



龍ちゃんのお母さんに勧められ、テーブルの中央に集められたみかんを一つ、手に取る。


小ぶりで、鮮やかなオレンジ色。

本当に美味しそう。
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