パラサイト ラブ
「そうなんだが…果物は口当たりがよくてつい」
言いながら、また一つみかんを剥き始めた龍ちゃんのお父さん。
「やれやれ、こんなんじゃあっという間に予備軍から昇格だな」
ははは、と笑い合う父子の明るい雰囲気に反して、私は内心もやもやしていた。
もっと別のものをお土産にした方がよかったんじゃないか。
羊羹を渡したときに龍ちゃんのお母さんが言った、
家族みんなが好き――…
それはただの社交辞令で、本当は心の中で舌打ちをしていたんじゃないか。
こんなの要らない、って…
だって、本当にみんな―――
当てつけなのかと思うほど、
みかんばかり食べているんだもの…
ハナさんが持ってきた、みかんを――…