パラサイト ラブ
……手がかり、ゼロ……か。
俺はとりあえず、家に戻ることにした。
もしかしたら、朝乃が帰ってきているかもしれないし……
可能性は、低いけど。
重い足取りでアパートに戻り、鍵を閉めずにおいた扉をゆっくりと開く。
…やはり、朝乃は帰っていない。
靴を無造作に脱ぎ捨て、リビングのソファにどかりと腰を下ろした。
「俺たち……これで、終わりなのか?」
問いかけても、がらんとした部屋は答えてくれない。
ふと、キッチンに目をやると朝乃が料理に悪戦苦闘する姿が目に浮かび、胸がぎゅうと悲鳴を上げる。
慌てて目を逸らしても、視線を移した先に朝乃の幻影はつきまとってきて、俺はそれを振り切るように目を閉じる。
“――――龍ちゃん”
だけど、そんなのは無駄な抵抗だった。
朝乃は……瞼の裏にまで住み着いていたのだから。