パラサイト ラブ

そんな切ない胸の痛みに抗うことをやめ、俺がソファに身を横たえたときだった。



『~♪~♪』



ポケットの中の携帯が、着信を知らせる。



「朝乃…!?」



飛び起きてポケットから携帯を出し、即座にディスプレイを確認すると、俺は落胆してため息をついた。


表示されていたのは『実家』の二文字だったから。



「……もしもし?」


『あ、龍二?お母さんだけど』



…なに?とあからさまに冷たく返すと、母さんは申し訳なさそうにこう言った。



『朝乃ちゃん、大丈夫だった?』


「大丈夫…って何が?」


『昨日、あんたと朝乃ちゃんが帰ったあと賢二に怒られたの。母さん達ちょっと配慮が足りすぎるって』


「賢二が…?」



賢二というのは弟だ。そう言えば昨日はあまり会話をしなかった気がするけど……


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