しあわせおばけ
時刻はまだ午後3時前。
でも今日はパーティだから、時間なんてどうでもいいんだ。
コロッケが熱いうちに、食卓に俺と明日香と相沢と、そして本人たっての希望で妻の分の箸も並べた。
食べられなくても気分だけは味わいたいと思う気持ちは、よくわかった。
そんな妻のために椅子を引いてやると、
「ありがと、ダンナサマ」
と、ご機嫌な笑顔をくれた。
「では、キレイな天使さんの存在を証明するために…」
俺の家なのに、なぜか仕切りだした相沢が、食卓の面々を見回した。
明日香は、コロッケを作り始める前よりは心なしか開放的な気分になっているようで、ちゃんとジュースのグラスを手に、乾杯の合図を待っている。
「かんぱーい!」
にぎやかな乾杯を楽しそうに眺めながら、妻はパチパチと手を叩いていた。