しあわせおばけ
「おまえ今、うちの子に限ってそんなことあるわけないって思っただろ」
「う…」
図星…―
それ以外の言葉が思い浮かばない。
俺の表情からそれを読み取った相沢は、フンと鼻を鳴らした。
「まだ小学2年生の多感な時期に母親を亡くしたんだ。頼れるはずの父親はこんなだし…変な気になってもおかしくないよ」
少し気になるワードが含まれているにしても、まあ、相沢の言いたいことがわからないでもない。
「あらゆる可能性を考えて、できることから解決していかなくちゃダメなんだよ。後から修復できるなんて甘い考えは捨てないと」
「あらゆる可能性…ね」
まだ子供だし、時間が解決してくれると高をくくっていた。
でも、まだ子供だからこそ、大人が手を差し伸べてやらないといけないんだ。