午前0時、夜空の下で
「もし私が動けるようになったら、すぐに迎えに行ってやるから。それまでは――お前の思うがままに」

妃月の言葉に、もはや頷きしか返せない。

「主よ、もうじき夜が明ける」

アッシュがそっと声を掛ける。

心はその言葉にビクリと反応した。

――もう終わり?

「っやだ、妃月さまっ……!!」

じわりと涙を浮かべる心に、妃月は悪戯な笑みを見せる。

「水面に手をつけろ」

突然の命令。

驚いて固まる心を、早くしろと急かす。

おずおずと、戸惑いがちに手のひらを水面に浮かべた。

すると、目を閉じた妃月の顔が、グッと近づいてきて――……手のひらに、そっと口唇を寄せる。
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