午前0時、夜空の下で
不安に揺れる感情を押し込め、心はただ笑った。

「信じます、妃月さま」

漆黒の瞳が、心を見つめる。

「認めてもらえるように、頑張ります。幻影なんですよね。信じたいから、信じます」

「……そうか」

常に冷静な妃月の瞳が微かに見開かれ、珍しい表情が見れたことに心は嬉しくなった。

――強くなりたい。

妃月と見つめ合いながら、心は切実に願った。

誰からも認められるように、彼を信じていられるように、もっと強くなりたいと。

「……また、見たいです。寝起きの夕焼けを、二人で」

擦れた声で小さく囁かれた言葉を、妃月はやわらかく微笑して受けとめた。

「だったら早く戻れ。そして私にその血を捧げろ。身体も、髪も、流れる血の一滴までも、お前のすべてが私のものだということを忘れるな」

狂気とも取れる言葉に、身体の奥底が歓喜する。

艶麗な響きが身体を火照らせ、漆黒の瞳に宿る優しい光は思考をとろけさせた。
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