午前0時、夜空の下で
くしゃりと顔を歪め、ありがとう、と小さく漏らす。

黎国で出会ったクロスリードやアルジェンは、常に心の傍にいてくれたものの、所詮彼らは妃月の命令に従っていたまで。

彼らにとっての主は魔王だった。

しかしキシナは、自分にとっての主は心であると、たった今明言してくれたのだ。

誰よりも信頼できる存在となったキシナに、心は再度、ありがとう、と呟いた。

「みんな待ちくたびれてるね。行こうか」

潤む瞳を押さえて歩き出した心を見つめ、キシナは目を細める。

「先程私が言った言葉、陛下には話すなよ」

ぽつん零された言葉に、心は立ち止まり首を傾げた。

『やりたいようにやってみろ』

「あ……」
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