午前0時、夜空の下で
――私はまだ、あなたのもとに帰れますか?

もし、帰れるのなら……死ねない。

「キシナ、顔を上げて。今までと同じように接してほしい。私自身を見てくれる、あなたには。……あの方の命令なら、私の正体も知ってるよね?」

魔族ではなく、人間であると。

視線で問い掛けた心を真っ直ぐ見上げ、キシナは小さく頷いた。

「私はこの世界で最も脆弱な存在。反乱だって、生きてあのひとに逢いたければ加わるべきじゃないってわかってる。それでも進む私に、あなたは着いてきてくれる?」

真剣な瞳をキシナへと向け、真っ向から見据える。

「愚問だ。……それが主命ならば、私はただ従うだけ」

返された答えに、心は瞳を潤ませ頷いた。
< 341 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop