午前0時、夜空の下で
短く発せられた一言で、心は即座に立ち上がり、琅の騎士たちに怒鳴りつけた。

「何をボケッと突っ立ってるの! 清潔な布を持ってきて!! あとミルフィーユを運ぶ担架も! あんたたちが斬ったなら、さっさと城で治療が受けられるように手配して!!」

心の言葉を聞いた騎士たちは、慌てて指揮官であるカミュへと目を向けた。

彼はひとつ頷き、剣を下ろす。

すでに両軍とも士気を失っていた。

「ウィーザーは捕縛して城に連れて行け。あとは彼女の指示通りに」

視線の先に心を捉え、カミュは眉根を寄せる。

兄であるレインは、確かウィーザーの反乱に巻き込まれた、ココという名の少女を探していたはず。

奴隷はほとんど名を持たないことから考えても、おそらく彼女は――……

「レイン兄上に連絡を。“ココ”と呼ばれている少女がいる、と」

ミルフィーユの応急処置を手伝う心へ再び視線を向け、カミュは小さく溜息をついたのだった。





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