午前0時、夜空の下で
「――全員動かないで!」
凍りついた彼らに、鋭い声が投げられる。
声を発したのが心だとわかったリーダーは、真っ青な顔のまま振り向いた。
「ココ? お前……」
副リーダーも、どうして、という表情を向ける。
カミュは少し目を丸くして、心をジッと見つめた。
心はそれらに一切構わず、真っ直ぐミルフィーユへと歩み寄る。
怒りと悲しみがないまぜになった表情に、周りの騎士たちは動くこともできず見守った。
地面に横たわるミルフィーユの頬に触れた心は、隣でずっと様子を見守っていたキシナを見上げた。
「……お願い。助けて」
切実なその声に突き動かされるかのようにキシナは身を屈め、細い指でミルフィーユの傷を確認すると、小さく頷く。
「止血する」