午前0時、夜空の下で
そうだな、と守護人は頷く。

彼の脳裏に描かれるのは、絶望を見たかつての魔界だ。

魔王の存在は、黎だけではなく魔界全土に影響を及ぼしている。

そのため王の不在で魔界の均衡は崩れ、弱い魔力を有する下位の魔族たちも異世界へ王を求めてさ迷い始めたのだ。

厚い雲に覆われた魔界では狂気に支配された魔族が徘徊し、各国の王たちは魔王の捜索に奔走していた。

魔界はもう崩壊してしまったと、誰もがそう思わざるを得なかった。

しかし、魔王がこの世界に戻ってきた瞬間。

世界が、一変した。

雲が晴れ、魔族たちが正気を取り戻し、異世界に渡っていた者たちが次々に帰ってくる。

魔界が息を吹き返したのだ。
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