午前0時、夜空の下で
「妃月」
「……ひづ、き?」
「そうだ。私のことはそう呼べ」
男……妃月はゆっくりと窓際に歩み寄ると、そこに置かれていた椅子に悠然と腰を下ろす。
心は立ち尽くしたまま、妃月を見つめた。
「私……これからどうなるんですか?」
妃月は心に視線を向けると、鮮やかに微笑んだ。
「さぁな」
見捨てられたのではないかと思うほどに、投げ遣りな答え。
「……」
「まぁ、好きに動いてみろ」
笑みを含んだ妃月の言葉に、心は瞬く。
「私がこの先どうするかは、お前の行動次第だ。やりたいようにすればいい。ただし、慣れるまではクロスリードやアルジェンからは離れるな。一人になると、城の者がお前を殺すかもしれない」
妃月が言い終わると同時に、扉が控えめに叩かれた。