午前0時、夜空の下で
入ってきたのは、クロスリードとアルジェン。

妃月は立ち上がって、心の方へ長い腕を伸ばし、その耳朶に唇を寄せた。

「私が傍にいないからといって、他の男に目を向けるようなことがあれば、即刻閉じ込めてやる」

絶世の美貌を甘く緩ませ、そんなことを囁く。

「当然です。妃月さまに捧げたのは……こころ、ですから」

体が震えそうになるのを抑え、心はペコリと頭を下げると足早に部屋から出た。

知らず駆け足になる彼女を見て、妃月が思案げに目を細めていたとも知らずに。

「あの、質問してもいいですか?」

遠慮がちに口を開いた心に、クロスリードはどうぞと素っ気なく答えた。

妃月に好きなように動けと言われ、心はまずこの世界を知ることから始めたのだ。
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