午前0時、夜空の下で
リーヴルと言えば黎国初代国王の正妃の名である。

偶然の一致か、否か。

そして何よりも気がかりなのは……

「“決して城に入ってはいけません”……?」

心は琅国の第五皇女ヴェルディとして黎国の王に嫁ぐのだ。

城に入らないわけにはいかないだろう。

そして何よりも心自身が、城に向かうことを――妃月との再会を望んでいた。

妃月との出会いを掻き消すかのように、薄れていく記憶。

ひたひたと迫り来る予感に心は怯え、一刻も早く帰らなければと焦燥感を募らせているのだ。



その時、小さなさえずりが部屋に響いた。

驚いて敷布から顔を上げると、青い小鳥が部屋の隅に置かれた棚の上に留まっているのに気づく。

水で薄めたかのような青は、夢の中で見た小鳥と同じだ。

「まさか、正夢……?」

不安げに呟いた心を小鳥はつぶらな瞳で見つめている。

「……リーヴル、様?」

恐る恐る呼びかけたが、小鳥はくいっと首を傾げるかのように頭を動かすと、羽の毛繕いを始めてしまう。
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