午前0時、夜空の下で
彼はすぐに己の魔力を自制した。

二つの世界が消滅してしまえば、魔界も均衡を失い破滅してしまう恐れがあったからだ。

彼が魔力を抑えたことによって、世界は一時の安寧を得た。

人間界に散らばる八百万の神は、その安寧に身を任せた。

しかし白き翼を持つ天族は魔王を畏怖し、その力を弱めようと図った。

魔王に天族の娘を娶ることを要求したのである。

本来、魔界と天界は互いに相容れぬものであり、婚姻など以ての外である。

有翼族である天族は翼のない魔族を蔑んでいたし、強い力を至上とする魔族は飛ぶことしかできない弱い天族を見下していた。

そして何より、魔族にとって天族の血は、死をもたらす猛毒であった。
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