午前0時、夜空の下で
「笑わせないで」

眉尻を下げたカルマの表情が、ゆっくりとぼやけてゆく。

瞼は一瞬にして熱を持ち、身体中がどうしようもない感情の渦に震えた。

怒りも、悔しさも、哀しさも、あらゆる思いがないまぜになり心の中を支配してゆく。

「私が、魔界の女王? 妃月さまを殺す?」

冷たく拒絶されようと、忘れることなんてできなくて。

どれほど記憶が薄れようと、もらった優しさや温もりは消えることがなくて。

絶望を味わっても、その名を口にするだけで甘い想いに囚われる。

――ああ、そうなのだ。私はこんなにも、あのひとのことを。

恋い慕う苦しさに、開いた唇から零れ落ちたのは震えた声。

「どうして、そんなことを言うの? 妃月さまは、立派な王様でしょう?」
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