午前0時、夜空の下で
離れていても、あの人が同じ世界にいると思うだけで満たされた。

辛いことがあっても、同じ空の下にいるのだと思うと励まされた。

不安を感じても、好きなように動けばいいという言葉があったから、思うがままに動けたのだ。

はらはらと零れ落ちる涙は止まる気配を見せず、心は顔を歪めてカルマを見据えた。

「……もう、手遅れなのです。心様、私は先ほど、天族の血は魔族にとって猛毒であると申し上げましたね? 
陛下は貴女の血を、口にしたことがあるのではありませんか。
……人間の血が混ざっているからこそ、即効性の毒にはなりませんでしたが……陛下の身体は、すでに毒に犯されております。
そのために記憶が消えつつあるのです」
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