午前0時、夜空の下で
心が瞬いた一瞬の後には、目の前の光景が切り替わっていた。
緑溢れる庭園で二人きりのお茶会を開いているようである。
魔界に滞在し始めてしばらく経ているのか、心の目に映った十六夜は穏やかな表情で庭園を眺めていた。
笑ってはいないものの、先ほど見た時に彼女の周りに渦巻いていた、悲壮感のようなものが払拭されている。
そんな彼女に寄り添うようにして、黎稀が微笑んでいた。
「十六夜、勉強は順調か? お前の勉強が進めば進むほど、俺は執務をしなくていい。
なんて素晴らしいんだ」
「……」
黎稀が機嫌よく十六夜の頭を撫でた。
馴染みのない触れ合いに、十六夜が戸惑って黎稀の顔を見上げると、彼は眉を上げた。
「ん? どうしたんだ、不安げな顔をして。……まさかハゲ大臣にでもいじめられているのか。
待ってろ、すぐに奴の首を落として――」
「……!!」