午前0時、夜空の下で
驚いて首を振りしがみつく十六夜を、黎稀は愛おしいと言わんばかりの表情で見下ろす。

心も胸がほんわりと温かくなった。



次の場面はさらに時を経たようだ。

月を見上げる黎稀の傍らで、夜着を纏った十六夜がしんなりと彼にもたれていた。

怠惰な雰囲気の意味を悟り、少しだけ心は頬を染める。

「魔族の愛撫は天族にはつらいだろう。大丈夫か」

「……少し痛みを感じる程度よ。口はきちんと漱いだの? 血を……」

不安げに黎稀を見上げる十六夜に、男は妖艶な笑みを浮かべる。

魔族では相手の血を飲むことは愛撫の一種だが、天族の血は魔族にとって猛毒なのだ。

十六夜の首筋を撫でる黎稀は、彼女の首筋に舌を這わせた。

淫靡な仕草に、十六夜は身体を震わせる。
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