午前0時、夜空の下で
後に終の継承と呼ばれるようになる儀式によって、十六夜はなす術もなく最愛のひとを喪い、哀しみのあまり彼女は黎稀の後を追って――……。

十六夜の慟哭とともに、目の前の光景がぐにゃりと歪む。

十六夜の感情に感化されたと気づいた心は、思わず目を閉じた。



しばらくして目を開けると、今度は見慣れた家が目に入った。

光景はがらりと移り変わり、心にとっては住み慣れた人間界を映し出したのだ。

一人の少女が家から出てくる。

「あれは……私? これ、もしかして消えていた記憶なの……?」

少女は母親と言葉を交わし、曇り空の下歩き出す。

少女はやがて大きな洋館に入って行った。

中は無人なのか、玄関の扉を必死で叩いている。

少女の様子は何かに怯えているようだ。

不審に思って辺りを見回した心は、門の外の光景に気づいて血の気が引いた。
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